ひとりマーケティングのためのデータ分析

「2つのP」戦術

  • こちらはストーリーにおけるマーケティング戦術の解説です。
    学術的な知見に則るものではありません

最後に、ストーリーのなかで「ひとりマーケティング」をどう具体化していくかについて示しておきたいと思います。主人公のひとり・綾子はその同僚・晴花の助言を通して組み立てましたが、手段としては、よく知られたフレームワークである “マーケティングミックス” を利用しています。

一般に言うマーケティングミックスは、4P すなわち Product(製品)・ Price(価格)・ Place(場所、流通)・ Promotion(プロモーション)の各ツールを適切に組み合わせようという考え方です。通常、マーケティングミックス政策はセグメンテーション(市場の細分化など)、ターゲテイング(標的市場の決定)、ポジショニング(差別化された商品やサービスのアピール)といった戦略レベルを具体化する性格のものとして位置づけられ、戦略計画の存在をおろそかにできるものではありません。ですが、ここでは “身の丈のマーケティング” ということで、

戦略的なエッセンスにウエイトを置かず、“アプローチにかんしての明快なフレーム” としての側面に依拠して政策を組み立てる

―――という方向性を与えています。以下、その個別要素です。

PRODUCT

ひとりマーケティングにあたって提供するものは「サポート」というサービスです(「ひとりマーケティング」を参照)。したがってこの領域で差別化を考える必要があります。具体的なものとなると、やはりその人その人の技能を発揮できるもの、たとえばプレゼン資料の作成や特定の商品・業務の深い知識、あるいは売上などのシミュレーションといったアクションから、内面的な特性、たとえば細やかな気づかいや愛想のよさといった点さえも差別化のファクターとなり得ると思います。

結論から言えば、このサイトではタイトルのとおり「データ分析」を中心としたアクションとその活用から差別化を考えることをひとつのテーマとしているわけですので、いうなれば「データを活用したサポート」が Product のツールとなります。

それを選択した理由をひとことで言えば、付加価値の高いリソースであるという点に尽きます。もちろんデータの種類や利用者の権限などにもよるでしょうが、たとえば商品の売上管理を担っている人であれば、売上実績などは身近なデータとなるでしょうし、それを使ってデータを分析することもできるでしょう。データは手に入れやすく、加工しやすいという点で誰もにとって身近な存在であり、そして何より客観的な情報を生みだすことのできる有効なツールだと思います。

PLACE

“会社の中でお店を開く” というスタンスのひとりマーケティングにおいて、流通経路や立地といった要素を厳密に捉える必要もないでしょう。ただ、ひとりマーケティングでは会社の中の人たちと仕事をやりとりするルート、つまり関係性を重視するという手前、その方向でのアクションについては考える余地があります。

能力に長けた人、言い方を換えれば豊かなリソースを持つ人であれば、全方向に対して手厚いサポートを提供できるでしょう。対して主人公のひとり・綾子のように限られたリソースしか持ち得ない場合には、薄く広くか、濃く狭くか選択して使用していかなければなりません。

しかしデータを活用したサポートは、そもそも人と人とのコミュニケーションをベースとしたアクションです。それが円滑に進むことを理想とすると、やはり相手に対する信頼というか、そういった形容のしがたい要素が影響を与えるところも大きくなります。したがって、話中では、濃く狭く「リソースを集中して投入」していった方がより効果的だという判断に至ります。

PRICE & PROMOTION

“ひとりマーケティング” にあたって、直接的には価格という概念はなじみません。間接的には考えられなくもないですが、話を複雑にすることに見合う利点が得られるか疑問はあります。またプロモーションの場合、自分のやっていることを正しく知らしめていくことは重要なことだと思いますが、広告や人的販売など多様な手段をとりうる本来のマーケティングとは違い、ひとりマーケティングでは仕事の上でのコミュニケーションを通じた伝達に限られるとみていいでしょう。このあたりの話は、ふだんの仕事ぶりや人間関係などの要素に大きく依存するでしょうから、具体的なアクションとしてはまとまりを得ません。

そのような理由で、Price とPromotion についてマーケティングミックスのフレームワークから除きたいと思います。


以上をまとめると、下図のようにあらわせます。

ひとりマーケティングの2P戦術 概念図

話中では、マーケティングミックスの 4P のうち Price と Promotion を除いた 2 つの P、すなわち Product と Place の 2 つからアクションを考えています。

第一の要点として、Product の観点からはサポートを、ここではとりわけデータの活用を手段としたサポートをおこなっていくことを考えます。

第二の要点として、Place の観点からは自らの持てるリソースの活用について、特定の対象に集中して投入していくことを考えます。

総じて、このストーリーのひとりマーケティング戦術は「データを活用したサポートを対象を絞って集中的におこなうこと」という方針をすえるに至ります。


「補足」頁 了

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