ひとりマーケティングのためのデータ分析

手順解説 | Excel(エクセル)でおこなうビジネスデータの分析

― 部門統合と投入係数・逆行列係数の計算(産業連関分析) ―

統合と分析
How-to

産業連関表

産業連関表(I-O 表、投入産出表とも)は、国・県など一定の地域で、一定の期間においておこなわれた財やサービスの取引額を表としてまとめたものです。日本では 5 年ごとに作成され、最終需要の変化に応じた生産・雇用への波及効果の計算から、価格上昇がもたらす他産業への影響度の計算、ひいては環境問題への応用に至るまで、さまざまな目的で利用されています。

産業連関表のタテ方向は、特定の部門が財・サービスの生産にあたって投入した中間財(原材料)ないし付加価値の額を、ヨコ方向は、特定の部門が生産した財・サービスが中間財または最終財として需要された額を示しています。言い換えれば、前者は費用の構成、後者は販売の構成といったところです。

産業連関表は、行方向に販売構成、縦方向に費用構成をあらわす

ここでは、分析上の必要に応じて、公表された産業連関表の部門を任意に集約するといった趣旨のもとで、x 部門の産業連関表を y 部門のそれに変換する作業(x > y)、ならびに、生産波及効果を計るために必要な投入係数表・逆行列係数表を作成する手順を追っていきます。ただし、このサイトには産業連関表に関する複雑かつ精緻な領域にまで踏み込める見識はありません。したがって、このプロセスは産業連関分析の中でもきわめて基本的な部分にすぎないことをご留意ください。

以下、Excel 2007 を使った産業連関表の部門統合の方法と、投入係数表・逆行列係数表の作り方です。なお、Excel 2010, Excel 2013 および Excel 2016 でも手続きは変わりません。

田中

1

元のデータです。e-Stat で公表されている平成 17(2005)年の日本の 産業連関表(取引基本表・生産者価格評価表・13 部門表)です。

このシートは、これ以降「シートA」と呼ぶことにしますここでは、シートA から 4 部門の統合表を作成し、それをもとに投入係数表と逆行列係数表を作成することが目的となります


※ 統合作業が不要な場合、リンクから 投入係数表と逆行列係数表の作成手続き までジャンプしてください。

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元データ・産業連関表

産業連関表

部門統合

田中

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シートA の産業連関表(取引基本表・生産者価格評価表・13 部門表)は、下のように「農林水産業」から「分類不明」まで 13 の部門に分かれています。13 部門表は上記ウェブページで公表されている産業連関表の中でも最も部門数の少ないものですが、ここではさらに集約して、

  • 第 1 次産業
  • 第 2 次産業
  • 商業・運輸
  • サービス他

の 4 つの部門からなる産業連関表を作成していきたいと思います。このようにして適宜部門を統合する作業は、部門統合 と呼ばれます。

説明のみ

部門統合の流れ:13部門→4部門(第1次産業・第2次産業・商業運輸・サービス他)に統合

田中

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具体的には、下のように統合することとします。

第 1 次産業からサービス他まで、それぞれ対応する色の部門を 1 つにまとめてしまいます。

説明のみ

統合の方針 第1次産業:1つ 第2次産業:3つ 商業運輸:2つ サービス他:7つ

田中

4

それでは、別のシートに、下のような表の枠組みを作成しておきます。下の図はスペースの都合上、本来なら横に長い表を上下に分割して表示していますのでご注意ください。

このシートが、これから作成する産業連関表のフレームとなります。以降、このシートは「シートB」と呼ぶことにします

4部門統合産業連関表の表組みを作成

田中

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では、ここから部門統合の作業となります。しばらくはそのための準備作業がつづきます。

最初に、シートA(13 部門の産業連関表)に切り替えて、列A と 列B の間にあたらしい列を挿入します。具体的には…

列B の上で右クリックし、ショートカットメニューから挿入を選択します。

田中

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挿入した列に、下のように識別番号としての数字を割り振ります。

先に決めたルールにしたがい、

  • 第 1 次産業 … ' 1 '
  • 第 2 次産業 … ' 2 '
  • 商業・運輸 … ' 3 '
  • サービス他 … ' 4 '

の各番号をを割りあてています。

[識別番号]第1次産業…1,第2次産業…2,商業・運輸…3,サービス他…4

田中

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続いて、列サイドにも行サイドでおこなったのと同様の操作を施していきます。

…ということで、行2 と 行3 の間にあたらしい行を挿入します。

具体的には、行3 の上で右クリックし、ショートカットメニューから挿入を選択します。

田中

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先に割り振った識別番号(ここではセルB5~B17)を選択し、クリップボードにコピーしておきます。

田中

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列見出し「農林水産業」の真上のセル(ここではセルD3)で右クリックし、ショートカットメニューから形式を選択して貼り付けをクリックします。

田中

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形式を選択して貼り付けダイアログが表示されます。

貼り付けの中からを選択し、下方の行列を入れ替えるにチェックを入れてから、OKボタンをクリックします。

値→行列を入れ替える→OK

田中

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上の操作で、列見出し「分類不明」(ここでは P列)まで識別番号がコピーされたことと思います。

さて、ここまでの作業で、下の図の緑の部分(内生部門 と呼ばれます)の準備を終えたことになります。

ここから黄色の部分(最終需要部門 と呼ばれます)を処理していきます。

説明のみ

内生部門の準備完了

田中

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黄色の部分を統合するにあたり、下の図のように扱うものとします。

具体的には、「家計外消費支出」「民間消費支出」「一般政府消費支出」を消費として、「国内総固定資本形成」「在庫純増」を投資として、「輸出計」を輸出として、「輸入計」を輸入とし、順に 6 ・ 7 ・ 8 ・ 9 の識別番号を割り当てます。

この番号を、各列見出しの真下のセルに入力します。

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[最終需要部門の識別番号]消費…6,投資…7,輸出…8,輸入…9

田中

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ここまでの作業で、下の図の黄色の部分の準備を終えました。

ここからオレンジの部分(付加価値部門と呼ばれます)を処理します。

説明のみ

最終需要部門の準備完了

田中

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オレンジの部分を統合するにあたっては、下の図のように扱うものとします。

具体的には、「雇用者所得」を雇用者所得として、「営業余剰」を営業余剰として、「家計外消費支出」「資本減耗引当」「間接税(除関税)」「経常補助金」をその他とし、順に 10 ・ 11 ・ 12 の識別番号を割り当てます。

この番号を、各行見出しの左隣のセルに入力します。

[付加価値部門の識別番号]雇用者所得…10,営業余剰…11,その他…12

田中

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ここまでの作業で、3 か所すべて(内生部門と最終需要部門および付加価値部門。なお、後の二者は総称して 外生部門 と呼ばれます)の準備を終えました。

ここから実際にデータを統合していきます。

説明のみ

付加価値部門の準備完了

田中

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では早速ですが、シートB に切り替えます。

まず、表下の使用していない任意のセルをアクティブにしておきます(ここではセルB17)。このセルを基点として集計した値を出力していくことになります。

次に、リボンのデータタブデータツールグループにある統合ボタンをクリックします

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[シートB]セルB17をアクティブ→データ→統合

田中

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統合の設定ダイアログが表示されます。

統合元範囲のボックスをアクティブにしておきます。

つづいて、シートA に切り替えます

統合元範囲のテキストボックスをアクティブに→シートAに切り替え

田中

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識別番号が入力された行・列の交点を基点として(ここではセルB3)、同じく識別番号が入力された最右方(ここでは AE列 )の列および最下方の行(ここでは 24行 )の交点(つまりセルAE24)までを選択します。

このとき、統合元範囲のボックスにこのセル範囲が指定されています。

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[シートA]セル範囲B3:AE24を選択

田中

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統合の基準上端行左端列ともにチェックを入れ、OKボタンをクリックします。

上端行・左端行にチェック→OK

田中

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以上の操作で、集計された値が シートB に出力されます。

この値を、上の 4 部門統合表に、識別番号に則って転記していきます。

たとえば、「第 1 次産業」行は下の図のような対応となります。また、4 部門統合表の単位は 100 億円としていますので、単位を合わせるため、それぞれ転記するにあたっては 10,000 で割っています。


ただ、今回のケースのように識別番号のならびを前後するかたちで振っていった場合には、出力される値も 4 部門統合表の見出しのそれとは異なったものになってしまいます。転記するにあたっては、この点がややこしく感じることもあろうかと思います。そこで…

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集計された値を4部門統合表に転記します。この際、単位を合わせるため元の値を10000で割っています。

田中

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転記する前に、あらかじめ行・列要素のならびを調えなおしておくのもよいかと思います。

たとえば、集計された表の行に注目すると、識別番号 '3' の行と識別番号 '4' の行の順序が逆になっています。これを入れ替えるためには、エクセルの「並べ替え」機能を利用して、行・列方向とも識別番号の順に並べ替えるか、あるいは 1 つ 1 つの行・列を目視しながら手動で並べ替えるか…という作業によって調整します。ここでは、後者の方法にだけ触れておきたいと思います。


ではまず、識別番号 '4' のデータ範囲を選択した上で切り取ります。次に、識別番号 '3' の直下のセルで右クリックします。

ここで表示されるショートカットから、切り取ったセルの挿入をクリックすると、行を正しい順番に入れ替えることができます。

この作業を必要な回数(列方向にも)繰り返し、望む並びの表に整えていく…といった流れです。

Tips)行の入れ替え,列の入れ替え

田中

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すべてを転記すると下のようになるかと思います。

必要があれば内容を確認してください。

説明のみ

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転記を終えた時点での4部門統合産業連関表

田中

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さらに「合計」「総需要」「国内生産額」の各セル(下の図のうち、色のついているセル)を計算し埋めていきます。

なお、

  • L列の「総需要」=中間需要の「合計」+ 最終需要の「合計」
  • N列の「国内生産額」=「総需要」+「輸入」(輸入が控除されます)
  • 14行の「国内生産額」=中間投入の「合計」+ 付加価値の「合計」

で計算しています。

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4部門統合産業連関表の完成

産業連関表

構成比をもとめてみる

田中

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参考までに、この 4 部門統合表から、産業別にさまざまな構成比を計算することができます。たとえば次のような要素に注目できるでしょうか。

ヨコ方向に注目すると…

  1. 中間需要・最終需要
  2. 中間需要の内訳
  3. 最終需要の内訳(ヨコ)
  4. 輸出率・輸入率 が、

タテ方向に注目すると…

  1. 中間投入・付加価値
  2. 中間投入の内訳
  3. 最終需要の内訳(タテ)
  4. 労働分配率

などについて、構成比ないしは比率を計算することができます。

産業連関表の行・列各方向に注目したとき、計算できるさまざまな構成比

田中

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これらを具体的に計算すると、以下の表のようになります。

下表では 1 行目ないし 1 列目だけ計算式を表示しています(上で作成した 4 部門統合表と同一のセル配置であるときの参照です)。実際に作成するにあたっては、入力した計算式を行ないしは列方向にコピーすればOKです。

  • 総需要に対する産業別の中間需要・最終需要の構成比
  • 中間需要・最終需要

  • 中間需要の産業別の販売構成比
  • 中間需要の内訳

  • 最終需要の産業別の販売構成比
  • 最終需要の内訳(ヨコ)

  • 産業別の輸出・輸入率
  • 輸出率・輸入率

    • 輸出率: 輸出 ÷ 国内生産
    • 輸入率: 輸入 ÷(総需要 - 輸出) として計算
  • 国内生産額に対する産業別の中間投入・付加価値の構成比
  • 中間投入・付加価値

  • 中間投入の産業別の費用構成比
  • 中間投入の内訳

  • 最終需要の産業別の費用構成比
  • 最終需要の内訳(タテ)

  • 産業別の労働分配率
  • 労働分配率

    • 労働分配率: 雇用者所得 ÷(雇用者所得+営業余剰) として計算

産業連関表

投入係数表

田中

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さて、ここからは投入係数および付加価値率の計算のプロセスです。これを表にしたものを投入係数表と呼びます。この表は、上の(5)表の行項目の内訳…と考えると分かりやすいかもしれません。

投入係数は、ある 1 単位の商品を製造するのに必要となる商品(=原材料)の投入量を意味します。また、付加価値率はある 1 単位の商品を製造するのに必要となる労働あるいは資本の投入量を意味しています。

田中

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では、シートの空いているところに次のような表の枠組みを(コピペなどで)作成し、「第 1 次産業」の交点のセル(ここではセルC29)に、 =(4 部門統合表の)第 1 次産業の中間投入額 ÷ 国内生産額 となる計算式を入力します。このとき、国内生産額のセルアドレスの “行” 部分だけを固定しておきます(複合参照)。

この式を表の最右列までヨコ方向にコピーしたのち、そのまま表の最下行までタテ方向にコピーします。

[セルC29]=C5/C$14

田中

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投入係数表が下のように作成できました。

ここで “ある 1 単位の商品を製造するのに必要となる” …という観点から投入係数および付加価値率を読んでみます。たとえば「第 2 次産業」ではどうでしょうか。

第 2 次産業の製品 1 単位を製造するにあたっては、その生産価額を 1 とするとき、第 1 次産業からは 0.02、同じ第 2 次産業からは 0.44、サービス他からは 0.11 の原材料が投入され、それら原材料が生産主体のもとに届けられるにあたり 0.09 の商業・運輸マージンを要している …あわせて 0.67 の商品やサービスを投入していることがわかります。

そして、雇用者所得として 0.18、営業余剰として 0.04、その他として 0.10 の労働や資本が投入されていることから、あわせて 0.33 の付加価値が生み出されている …ことを読み取ることができます(以上の値は四捨五入をしています。したがって内訳と合計は一致していません)。

説明のみ

投入係数表の完成

産業連関表

逆行列係数表

田中

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上の投入係数表を使って、ここからさらに逆行列係数を求めていきたいと思います(逆行列係数表の作成)。

ここでは輸入(地域の場合は移入も)によって波及する分を取り除いて、国内(地域の場合は域内)の波及だけを考慮するモデルを使用することとします。したがって、レオンチェフ逆行列は [I-(I-M)A]-1 型を選択します(各アルファベットは行列をあらわします。具体的に意味するところは後に作成する各表のタイトルを参照してください)。

田中

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まずその準備として、輸入係数(地域の産業連関表の場合には「移輸入係数」とした方が適当かと思います)を求めておきます。シートの空いているところに、下のような表の枠組みを作成します。

輸入係数は 、各産業について、中間需要 + 輸出を除いた最終需要 = D とすると、D に占める輸入の割合を意味します。ただし、計算上の結果が同じですので、ここでは輸入係数を |輸入| ÷(総需要 - 輸出)にて計算することとします。

…ということで、「第 1 次産業」の見出しの右のセルに

  • =ABS(M5)/(L5-J5)

と入力し、これを下方に 3 セル分コピーします(この輸入係数の計算式の構造は、先に触れたさまざまな構成比群(4)の輸入率と同じです)。

[セルI27]=ABS(M5)/(L5-J5)→下方に3セル分コピー

田中

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輸入係数が以下のように求められます。これらの値は、のちのプロセスで単位行列 I を利用して、輸入係数を対角に配置した行列(輸入係数行列 と呼ばれます)を作成するために利用します。

説明のみ

輸入係数

田中

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つづいて、シートの空いているところに、下のように 7 つの表組みを用意します。

この 7 つの表は、行列およびその計算過程となります。

表のタイトルは、上の表から順に「単位行列I」「輸入係数行列M」「投入係数行列A」「行列I-M」「行列(I-M)A」「行列I-(I-M)A」「逆行列[I-(I-M)A]-1」としています。

田中

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単位行列I」表です。

同一産業の交点のセルには「1」、その他のセルには「0」(ゼロ)を入力します。

単位行列I

田中

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輸入係数行列M」表です。

「第 1 次産業」の交点のセルに、「単位行列I」上の参照セルの値が 1 であるときに限り、先に計算した輸入係数を転記していきます。具体的には、ここでのシート構成の場合

  • =IF(B43=1,$I27,0)

と入力します(計算式と同じ色のセルが対応しています)。

この計算式をヨコ・タテ方向にコピーします。

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輸入係数行列M [セルB50]=IF(B43=1,$I27,0)→表中すべてのセルにコピー

田中

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投入係数行列A」表です。

式の通り、先に計算した投入係数表の中間投入の部分と同じものです。したがって、計算においては同表の値をそのまま参照すればいいのですが、ここでは流れを分かりやすくするため、あえて別表として用意しています。

投入行列係数A [セルB57]=C29→表中すべてのセルにコピー

田中

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行列I-M」表です。

「単位行列I」から「輸入係数行列M」を引いたものです(行列の引き算)。これは自給率(1 - 輸入率)をあらわす行列です。

行列I-M [セルB64]=B43-B50→表中すべてのセルにコピー

田中

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行列(I-M)A」表です。

「行列I-M」に「投入係数行列A」を掛けたものです(行列の掛け算)。行列の積を求めるにあたっては、Mmult関数を使用します。

「第 1 次産業」の交点のセルから「サービス他」の交点のセル範囲を選択して、関数の挿入ボタンをクリックします(Mmult関数 ―"Office")。

表中すべてのセルを選択→関数の挿入ボタン

田中

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関数の検索ボックスに "mmult" と入力し、検索開始ボタンをクリックします。

関数名から、MMULTを選択し、OKボタンをクリックします。

田中

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関数の引数ダイアログが表示されます。

配列1に「行列I-M」表の対応する参照を、配列2に「投入係数行列A」表の対応する参照を指定します。

指定したのち、キーボードのShiftキーとCtrlキーを押しながらOKボタンをクリックします(配列数式)。

行列(I-M)A [配列1]B64:E67,[配列2]B57:E60→SHIFT+CTRL+OK

田中

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行列I-(I-M)A」表です。

単位行列I」から「行列(I-M)A」を引いたものです(行列の引き算)。

「第 1 次産業」の交点のセルに下のように計算式を入力し、コピーします。

行列I-(I-M)A [セルB78]=B43-B71→表中すべてのセルにコピー

田中

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逆行列 [I-(I-M)A]-1」表です。

行列I-(I-M)A」表からMinverse関数を使用して求めます(逆行列の計算)。

「第 1 次産業」の交点のセルから「サービス他」の交点のセル範囲を選択して、関数の挿入ボタンをクリックします(Minverse関数 ―"Office")。

表中すべてのセルを選択→関数の挿入ボタン

田中

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関数の検索に "minverse" と入力し、検索開始ボタンをクリックします。

関数名から、MINVERSEを選択し、OKボタンをクリックします。

田中

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関数の引数ダイアログが表示されます。

配列に「行列I-(I-M)A」表の対応する参照を指定します。

指定したのち、キーボードのShiftキーとCtrlキーを押しながらOKボタンをクリックします(配列数式)。

逆行列[I-(I-M)A]-1 [配列]B78:E81→SHIFT+CTRL+OK

田中

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逆行列 [I-(I-M)A]-1」表のタテ計・ヨコ計もあわせて求めます(Sum関数)。

逆行列[I-(I-M)A]-1の行計・列計の計算→逆行列係数表の完成

田中

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逆行列 [I-(I-M)A]-1」表をタテ方向に見ると、ある部門に 1 単位の最終需要が生じたとき(直接的な生産の単位)、各部門に誘発される生産の大きさ(直接的な生産のもたらす波及効果[=間接的])がわかります。

たとえば「第 2 次産業」を見てみます。この部門にのみ 1 単位の最終需要が生じたとき、第 1 次産業では 0.03、第 2 次産業では 1.66、商業・運輸では 0.18、サービス他では 0.28 単位の生産が誘発されることがわかります。つまり、経済全体では 2.16 単位の生産が生じるということが示されます。なお、この表の対角部分(自部門を意味します)の値が 1 より大きくなっているのは、その直接的な生産単位の 1 を含むがゆえのことです。


長くなりましたが、以上で 4 部門統合産業連関表投入係数表逆行列係数表すべて完成です。

産業連関表

影響力係数・感応度係数

田中

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なお、Tips 的なことですが、「逆行列 [I-(I-M)A]-1」表からは、影響力係数 および 感応度係数 と呼ばれる係数も計算できます。

それぞれの計算式の構造は、下のようになっています。

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Tips)影響力係数と感応度係数

田中

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これを計算すると、下の図のような値となります。

本来、4 部門統合表のようなきわめて単純化された経済構造のもとでは、影響力係数や感応度係数も漠然としたところを意味するものにすぎなくなってしまいます。ここでは両係数の役割に触れるため便宜上両係数を求めていますが、それぞれの値が具体的に指し示すところは参考程度にとらえてください。

影響力係数は、需要の波及効果の相対的な大きさを示すものです。ここで求めた値からは、第 2 次産業における需要が他の産業に与える影響力が大きい…ということが示されます。言うなれば、影響力係数は、“他の産業をまきこむ力” の指標とでも例えられましょうか。

感応度係数は、すべての産業に 1 単位の需要があったとき、ある部門に対して各部門からそれぞれ受ける影響の大きさ(感応度)を示すものです。同じくここでの値を見れば、第 2 次産業・サービス他について、産業全体からの影響の受けやすさが示されます。こちらは言うなれば、“他の産業からのまき込まれやすさ” の指標とでも例えられる…かもしれません。


  • 本頁で使用したデータはすべて架空のものです。また特定の会社等に実在する人物名、および同場所で実際に観測されたデータ群などを根拠にしたものでもありません。
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LastUpdate

2016.7.12

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