主要な登場人物と背景
人物
寺畠 綾子(てらはた あやこ)age:20
総務部経理課の社員。高校を出てリサーチサービス社に入社し,3年目を迎えたところ。おとなしい性格で周囲のペースを大事にするタイプだが,信じるところにおいては強引な部分を見せることも。若者らしい茶目っ気はたっぷり。
IT技術は初歩レベル。同じ課の晴花をよき友達・よき同僚としてたいへんに慕っている。異性と交際した経験がなく,取るにたらない出来事さえもそのへんのことに関連付けて妄想するのが大好な,ちょっと変わった女の子。
日南 晴花(ひなみ はるか)age:31
総務部経理課の社員。綾子より後に中途で入社。年齢相応の落ち着きがありふだんは常識のある所作をとる。会社の中の人との付き合いはほとんどが表面的だが,深く信頼する綾子だけは唯一の例外で,自分の妹のごとく気にかけている。
ときに必要に迫られて人を動機づけたり,パソコン操作やビジネス知識にスキルの片鱗を覗かせるようなこともあるが,心許した人間以外にそうした側面をさらすことを避けたがる。リサーチサービス社に来る前は,倒産した町工場で事務の仕事をしていたと本人談。
田中 美希(たなか みき)age:28
RS3部の中途入社の若手社員。先輩とはいえ綾子とは入社の時期も近く,仲がいい。
よく言えば活発であるが,とかく勝気でせっかちな部分が目立つ。相手が社長であれ遠慮しないレベルとくれば,これまで公私ともに無数の不利益を招き寄せたのも不思議でない。本人も自覚するところがないではないが,浮き沈みの中での感情のコントロールが苦手なことにも阻害され,負のループをなかなか脱することができずにいる。
結局,入社以来これといった秀でるものを得るに至らず,部内の居心地も日々悪化の一途をたどっている。
鏑木(かぶらぎ)社長 age:44
リサーチサービス社の社長。高校卒業後,地元の小さなメーカーで営業職に就くも,ひょんなことから知己を得た外資系マーケティングリサーチ会社の役職者に気に入られ,畑違いの世界に飛び込んだ。
在籍中はその出自を軽んじられ,その他大勢の理解を得ることも,あるいは反発から理解しようとすることもなかったが,盲目的に実績を上げることだけに固執して周囲の雑音を撥ね返しつづけた。しかし,やがて別の上長のもとに就くことになると,この人物と対立。独立を決意し,母親の暮らす故郷の地でB2B企業「リサーチサービス」社を設立した。
そして10年の間,大きな発展はせずとも堅実な会社経営を続けてきた…はずだったが,今,変化の波が押し寄せている。
安堂 信哉(あんどう しんや)age:34
RS1部の中途入社の中堅社員。ひょうきんで朗らかな人物。間接部門と上手に付き合うか否がで自らが得るもの大きさが左右されることを理解し,差し入れなど気配りを欠かさない。その意味で経理課を手なずける老獪さを持っている。
もっとも,本業のリサーチ能力では社内随一の評価を得るが,天性の性分か営業はある意味見事なまでにからきし。会社の状態が傾きはじめ,社長を筆頭に営業力重視が叫ばれる中,肩身の狭さを感じている。
会社やお店
リサーチサービス社
綾子と晴花が勤務する,当該地方の企業の信用調査とマーケティングリサーチを主業とする小さな会社。3階建ての雑居ビルの,2階部分の全区画と1階部分の一部を賃借りしている。それでも,30人をこえる人間の空間としては限界に近い狭さではある。
大学新卒採用を一切おこなわない方針をとっていることから,RSについてはすべての社員が中途採用者で構成されている。
イタリア料理店・Navi in Bottiglia
リサーチサービス社の近くにあるレストランで,オーナー夫人は晴花の高校時代からの親友。その縁で,綾子と晴花が足繁く通う店。店名は「ボトルシップ」の意。店内には名前にたがわずたくさんのボトルシップが飾られている。
長い店名をフルで発声してもらえることは希で,「ナーヴ」と略されるのが常である。
部門と関係性
RS(Research & Sales)部
調査・営業担当部門。リサーチサービス社の肝となる人海戦術部門で,その誰もが調査と営業の両方の職責を求められることから,自己管理のとても難しい部門となっている。部門間で成績を競う狙いで1~3部に分けられ,Story開始時点で各部8名ずつの計24人が在籍する。
総務部経理課
綾子と晴花の属する課。雑居ビル1階の階段脇に受付を兼ねた分室のかたちで存在する。一般経理,総務に係るRS部のサポートを役割とする部門。もっとも小さな会社ゆえ,仕事の内容に明確な線引きがあるはずもなく,社内では「なんでも課」的なポジションを期待されるところがある。
ふたりの他,この課には,管理者の総務部長と,社長の母親の初江が関係する。