First Step
Story > Chapter 1 > Section 5
綾子はこの日朝の通勤電車の中で、昨晩買い求めた本を開いてみた。そして会社に着くなり、「やっぱりカバーは付けてもらうべきだった」と顔を赤らめて晴花に言う。
美少女OL?とイケメンサラリーマン?が2時の方向30°上方をビシッ!とゆび指す姿が描かれた本の表紙は、周囲の怪訝そうなチラ見視線を集めるに十分だ。
経理課で整理された使用済みの封筒を裂いて、早速ブックカバー様(よう)に形を整えている綾子を横目に、電車の中で見るのを止めておくという選択肢がなかった綾子の真っ直ぐさを、晴花は微笑ましく思ったりもした。
そしてこの時間。綾子は先ほどまで、くだんの本とディスプレイとを交互に見ながらいろいろと格闘していたようだが、かれこれ五分ほど前から手を止めたままでいた。
…と言うと、綾子は本の当該ページを晴花に示した。
DEMONSTRATION 3:
DEMONSTRATION 4:
Chapter1 Finished.