ひとりマーケティングのためのデータ分析

TOOLS / DATA ANALYSIS

切り口を変え、多面的に深掘りして要因を特定する。
Excelでのスライス&ダイス分析。

ピボットテーブルで切り口を変え、スライサーで断面を覗き込む。

2026/4/26

綾子

AYAKO

漠然としたデータのかたまりも、切り口を変えたり、サイコロを転がすように視点を変えたりすることで、見えなかったヒントが浮かび上がってきます。ピボットテーブルを使えば、その試行錯誤も簡単です。

スライス&ダイス分析とは

データを切り出す(スライス)、ないしはサイコロ(ダイス)を転がすようにして視点を変えるといった方法を組み合わせながらすすめるデータ分析の手法です。多面性・深度を視座に分析に取り組むことができます。

Slice
特定の軸(例:特定の部門、特定の月)でデータを切り出し、断面を深く覗き込むアプローチ。
Dice
サイコロを転がすように集計の軸(例:部門別 → 業種別)を入れ替え、異なる面からデータを俯瞰するアプローチ。
トライアル&エラーを前提とした探索的アプローチ

スライス&ダイス分析には決まった手続きがあるわけではありません。むしろ、総当たり的な手続きをとることにより"想定しない発見"を探索しうる点にこそ意義があります。とはいえ、膨大なデータを対象とした総当たり的な手続きは難しいため、実際にはある程度のアテをつけた利用が不可欠です。

01

元データと出発点

リサーチサービス社のここ2年にわたる主要商品の売上データ(一部)です。取引1件につき1つのレコードが対応しています。このデータをスライス&ダイスしながら多面的に見て、特徴的な事象がないかを探ります。

元データ・スライス&ダイス分析

ここでは、売上データの業種別構成比を計算した際にやや意外な結果が出たことを出発点とします。ある販売担当部員について「販促に活路を見いだすための材料がどこかにないか」という問いを携えてスライス&ダイスを試みます。

スライス&ダイス分析の出発点
02

ピボット表とピボットグラフを用意する

シートの任意のデータ(ここではセルA1)をアクティブにした状態で、リボンの挿入タブテーブルグループにあるピボットテーブルをクリックします。

ピボットテーブルの挿入

ピボットテーブルの作成ダイアログが開きます。テーブル/範囲に正しいデータ領域が指定されているかを確認し、問題がなければデフォルトのままOKをクリックします。

ピボットテーブルの作成ダイアログ

フィールドリストから月-年枠に、商品コードに、金額枠にドラッグ&ドロップします。

フィールドの配置
Excel 2016以降の「日付の自動グループ化」について

Excel 2016以降では、日付データをへドロップすると自動的に「年」や「四半期」といった項目にグループ化されます。ここでは解説の整合性を維持するため、自動で加えられたグループ化設定を解除して(ピボット表のセルを右クリック →「グループ解除」)作業を進めます。

グループ解除

その状態のまま、リボンのピボットテーブル分析タブ(または分析タブ)ツールグループにあるピボットグラフボタンをクリックします。

ピボットグラフの挿入

グラフの挿入ダイアログ・「面」グループの積み上げ面をクリックし、OKをクリックします。

積み上げ面グラフを選択

商品種別1〜8について、ここ2年の売上推移をグラフ化できました(商品別売上高|時系列)。全体には右下がりの傾向が見られますが、商品ごとの販売構成比の変化はハッキリしません。「100%積み上げ面」に変更しても、一覧してわかるような特徴的な事象は窺えませんでした。

積み上げ面グラフ 100%積み上げ面グラフ
03

他のグラフを適用してみる

2時点間で単純化して眺めるため、ファンチャートを使って最初と最後のタイムシリーズを線分で結びます。ピボット表の「合計/金額」をアクティブにした状態から、ピボットテーブル分析タブアクティブなフィールドグループのフィールドの設定をクリックします。

フィールドの設定

値フィールドの設定ダイアログの計算の種類タブに切り替え、計算の種類基準値に対する比率に、基準フィールド月-年に、基準アイテムJul-10(当該期間のうち最も古いもの)に設定してOKをクリックします。

基準値に対する比率の設定

ピボットグラフをアクティブにして、デザインタブ種類グループのグラフの種類の変更から折れ線グラフに変更します。続けて、タイムシリーズのフィルタから"最も古い期"と"最も新しい期"の2点のみを選択します。

折れ線グラフへの変更とフィルタ

当該期間のうちの最も古い実績を基準としたファンチャートが完成しました。この極めて単純な2時点比によれば、商品種別6(基幹商品)が分析時点で最も大きく落ち込んでいることが明確に読み取れます。

ファンチャートの完成
04

「スライス」してデータを覗く

データを比率から観測値に戻し、タイムシリーズのフィルタも解除します。ここまでは売上金額を「商品」と「時間」の2軸から眺めました。次にここをとっかかりとして——

データの初期化

先の2軸に新たに「部門」軸を加えて、3つの視座から売上を考えます。

部門軸の追加イメージ

「部門」に相当する変数がないため、「社員コード」の先頭桁をグループ化して代用します(図の上段・中段・下段の順に操作)。

社員コードの追加 グループ化の設定 部門としてのグループ化完了

グラフは図の上段のように3つの不連続な群の塊となりました。先ほどと同じく2時点間推移に単純化し(2段目)、グラフにスライサーを追加して不連続な群がスムーズに切り替えられるように設定します(3・4段目)。

3部門が不連続な群として表示 2時点間推移に単純化 スライサーの追加 スライサーで切り替え可能な状態

スライサーで部門を切り替えながら見ると、商品種別6の大幅な減少は「RS1部」の影響が大きかったことが窺えます。

スライサーによる部門別推移の確認

このように、ある軸からひとつの項目要素(ここでは「部門」の特定部)で切り出して断面を覗き見るアプローチをスライス分析と呼びます。

スライス分析の概念図

視点をさらに下の「販売担当者」レベルへ移動するドリルダウンを行います。年単位の集計値に変更し、社員コード1005の人のデータを見てみると、主力商品である種別6の販売機会に恵まれていないことが見えてきました。

ドリルダウンの実施 社員個別の傾向確認
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「ダイス」してデータを覗く

再度フィルタを解除し、今度は「部門」を別の変数「業種」と入れ替えます。このように3つの変数の組み合わせをサイコロを転がすように変えるアプローチをダイス分析と呼びます。「業種」と「商品」の2軸を同時にスライスできるよう、スライサーを2つ差し入れます。

ダイス分析の概念図

フィールドを以下のように割り振り、グラフを積み上げ面に変更します。

  • 軸(行): 業種コード, 年-月
  • 凡例(列): 商品コード
  • 値: 合計/金額

スライサーを利用して「金融」業種における特定の商品コードをスライスして動向を確認します。

ダイス分析:フィールドの再配置 2つのスライサーの配置 特定業種と商品の絞り込み

より大きな括りである「全業種」への視点移動(ドリルアップ)を行って確認します。商品コードのフィルタを外し、業種コードを凡例に移して2時点比の折れ線グラフにすると、業種「金融」が期間開始時の3位から直近では7位に落ち込んでいる背景が見えてきました。

ドリルアップの設定 全業種の比較結果

綾子